1. ふるさと納税 控除の目安と限度額の計算方法

ふるさと納税 控除の目安と限度額の計算方法

更新日:2016年11月28日
ふるさと納税 控除の目安と限度額の計算方法

ふるさと納税の内容や手続きの進め方についてご紹介してきましたが、ここではふるさと納税を行うことで手続きできる税金の控除について、ポイントごとに詳しくお話ししましょう。

ポイント1 実質的な自己負担額を2,000円に抑えられます

ふるさと納税は、「納税」という言葉が使われていますが、法律上は「寄附金」として取り扱われます。「寄附金」であれば、確定申告などの手続きを行うことで税金が控除(本来支払う税金から差し引くこと)されます。もちろん、ふるさと納税の場合も税金の優遇措置を受けられ、寄附した金額から自己負担額の2,000円を除いた金額を所得税や住民税といった税金から控除できます。

たとえば10,000円をふるさと納税した場合は8,000円(10,000円-2,000円)を。10,000円のふるさと納税を3つの自治体に行った場合でも、自己負担額は2,000円で、残りの28,000円を差し引くことができます。なお、ここではわかりやすく説明するため、「復興特別所得税」分は考慮していません。「復興特別所得税」については、「自己負担が2,000円に収まる、寄附上限額を計算する方法」でご確認ください。

ふるさと納税で10,000円を支払った場合

ただし、控除された税金が全額還付されて自分の口座に振り込まれるわけではありません。というのは、控除対象となる所得税や住民税の算出法に違いがあるからです。なお、「確定申告」を行った場合は、所得税分と住民税分に分かれて控除(差し引き)されますが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を申請した場合は所得税からの還付はなく、住民税からの控除だけになります。たとえば10,000円をふるさと納税した場合、還付と控除は以下のようになります。すでに支払っている所得税から800円が還付(確定申告時に指定した銀行口座に振り込まれます)され、翌年に支払う住民税が7,200円安くなります。

1.所得税の控除(還付)
【ふるさと納税(寄附)-2,000円】×所得税率(所得金額によって0~45%)
10,000円を寄附し、所得税率が10%の場合は800円が還付されます。なお所得税率は課税される所得金額によって異なり、10%の税率が適用されるのは所得金額が195万円を超え330万円以下の場合です
2.住民税からの控除(基本分)
【ふるさと納税(寄附)-2,000円】×10%
10,000円を寄附(納税)した場合は800円が住民税から控除されます
3.住民税からの控除(特例分)
【ふるさと納税(寄附)-2,000円】×【100%-10%(基本分の税額控除)-所得税率】
10,000円を寄附(納税)した場合は6,400円が住民税から控除されます

一般的に給与などでは、所得税はお金を受け取った時にすでに天引きされているため、所得税の控除分は後から自分の口座に還付、つまり振り込まれます。一方で、住民税は1月1日から12月31日までの所得に基づいて決まるので、実際の支払いは翌年になります。そのため、住民税の控除分については、本来支払う住民税を減額するかたちになります。

ふるさと納税で10,000円を支払った場合の還付金と控除額

ポイント2 自己負担が2,000円に収まる、寄附上限額を計算する方法

寄附した金額から自己負担額の2,000円を除いた金額を所得税や住民税から控除できることは何度もお話ししてきました。もし100万円を納税すれば、998,000円分を税金から控除できることになります。しかし、あくまで税金から控除するのであって、100万円を納税したからといって、998,000円全額が返ってくるわけではありません。控除とは、すでに支払っている、または支払うことになっている税金から差し引くという意味です。998,000円以上の税金を支払っていなければ控除、つまり差し引くことはできません。ふるさと納税で納める寄附金の額に上限はありませんが、自分が支払っている所得税や住民税が少なければすべての金額を控除できず、自己負担分が増えることになります。

そうなると、「自分はいくらまでふるさと納税ができるの?」ということがポイントになります。自分にとって「合理的・適正な寄附額=寄附上限額」はいくらかということです。「年収の何割まで」という目安があればわかりやすいのですが、年収の額や家族構成などによって税率や控除できる金額が異なりますし、残念ながらそうした目安は万能とは言えません。また、『個人住民税所得割の20%』といわれることもありますが、これは正確には住民税の特例控除分(上記のイラストを参照)の限度額になります。寄附上限額については、以下の計算式で算出できます。また、個人住民税所得割から逆算して寄附上限額を算出する数式もあわせてご紹介しておきます。

*住民税に関する詳しい情報は(コラム:地方税)を参考にしてください

所得税分の寄附上限額(復興特別所得税分を含む)
①所得税分:【ふるさと納税額(総所得金額等の40%が上限です)-2,000円】×所得税率(0~45%で所得額によって異なります)
②復興特別所得税分:①で求めた金額 × 復興特別所得税率2.1%
①と②の合計額が所得税分の寄附上限額となります。2つの式を1つにまとめると、 【ふるさと納税額-2,000円】×【所得税率×1.021】(所得税率が10%の場合は0.1021) となります。
住民税分(①は基本分・②は特例分)の寄附上限額
下記の①と②の合計額が、翌年度の個人住民税から控除されます(100円未満切り上げ)。なお、②の額は、個人住民税所得割額の20%が限度額となります。
①基本分:【ふるさと納税額(総所得金額等の30%が上限です)-2,000円】×10%
②特例分:【ふるさと納税額(総所得金額等の30%が上限です)-2,000円】×【100%-10%(基本控除率10%)-所得税率×(100%+復興特別所得税率2.1%)】
=【ふるさと納税額-2,000円】×【90%-所得税率×1.021】(所得税率が10%の場合は0.7979)
個人住民税所得割から寄附上限額を求める場合の計算方法
【個人住民税所得割額×20%÷(90%-所得税率×1.021)】+2,000円
復興特別所得税とは
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(平成23年法律第117号)が平成23年12月2日に公布され、平成25年1月1日から施行されています。このため、源泉徴収義務者は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、その合計額を国に納付しています。

ポイント3 寄附金控除の計算例

ポイント2でさまざまな計算式をご紹介しましたが、実際の事例に基づいて金額を算出してみましょう。

事例1:給与収入が700万円で、夫婦と子供2人の4人家族。所得税の適用税率は10%、住民税所得割額は293,500円で、「ふるさと納税」で30,000円を寄附した場合

所得税分(復興特別所得税を含む)
①所得税分(30,000円-2,000円)×10%=2,800円
②復興特別所得税分:2,800円×2.1%=58.8円
①2,800円+②59円で合計2,859円となります。ただし、実際は100円未満の金額は切り捨てられるので2,800円となります。
住民税分
①基本分:(30,000円-2,000円)×10%=2,800円
②特例分:(30,000円-2,000円)×(90%-10%×1.021)=22,341円
ただし、実際の運用では、100円未満は切り上げられるので22,400円となります。また、事例1では、特例分の金額が住民税所得割額293,500円の20%以内なので全額控除されます。
①2,800円+②22,400円で合計25,200円となります。
事例1の場合は、所得税分2,800円(2,859円)住民税分25,200円(25,141円)を合わせて28,000円が軽減されます。

事例2:同じ家族が、「ふるさと納税」で80,000円を寄附した場合

所得税分(復興特別所得税を含む)
①所得税分:(80,000円-2,000円)×10%=7,800円
②復興特別所得税分:7,800円×2.1%=164円
①7,800円+②164円で合計7,964円となります。ただし、実際は100円未満の金額は切り捨てられるので7,900円となります。
住民税分
①基本分:(80,000円-2,000円)×10%=7,800円
②特例分:(80,000円-2,000円)×(90%-10%×1.021)=62,236円
ただし、実際の運用では、100円未満は切り上げられるので62,300円となります。また、事例2では特例分の金額が住民税所得割額293,500円の2割である限度額58,700円より多いため、全額控除できません。控除できるのは、限度額の58,700円までとなります。
①7,800円+②58,700円で合計66,500円となります。
事例2の場合は、所得税分7,900円(7,964円)住民税分66,500円を合わせた74,400円が軽減されます。

事例3:同じ家族の寄附上限額を計算で求める場合

  • 【個人住民税所得割額×20%÷(90%-所得税率×1.021)】+2,000円の式で計算した金額が寄附上限額となります。
  • 293,500円×20%÷(90%-10%×1.021)+2,000円=75,568円
  • 今回の事例では、75,568円となります。つまり、70,000円のふるさと納税であれば全額控除されますが、事例2のように80,000円のふるさと納税では、全額控除されないことがわかります。
  • 事例3の場合の寄附上限額は75,568円
参照サイト
寄附に伴う税の軽減(栃木県)
ふるさと寄附金とは?(千葉県印西市)
限度額の具体的な計算(北海道)
寄附金控除について(愛知県蒲郡市)

ポイント4 寄附上限額をもっと簡単に知る方法

計算式はわかっても、自分で計算するとなると、本当にこれで合っているのかどうか気になります。「もっと簡単に寄附上限額を知りたい」というご希望はごもっともです。実は、総務省のWEBサイトでは、自己負担額の2,000円を除いた全額が控除される、ふるさと納税額の目安一覧(平成27年以降)をまとめてありますし、収入と家族構成を入力するだけで寄附上限額を計算してくれる計算用シートも入手できます。ただし、あくまで目安なので、具体的な計算はお住まいの市区町村にお問い合わせください。

ふるさと納税を
行う方
本人の給与収入
ふるさと納税を行う方の家族構成
独身又は
共働き※1
夫婦※2
又は共働き
+子1人
(高校生※3)
共働き
+子1人
(大学生※3)
夫婦
+子1人
(高校生)
共働き
+子2人
(大学生と
高校生)
夫婦
+子2人
(大学生と
高校生)
300万円28,00019,00015,00011,0007,000-
350万円34,00026,00022,00018,00013,0005,000
400万円42,00033,00029,00025,00021,00012,000
450万円52,00041,00037,00033,00028,00020,000
500万円61,00049,00044,00040,00036,00028,000
550万円69,00060,00057,00048,00044,00035,000
600万円77,00069,00066,00060,00057,00043,000
650万円97,00077,00074,00068,00065,00053,000
700万円108,00086,00083,00078,00075,00066,000
750万円118,000109,000106,00087,00084,00076,000
800万円129,000120,000116,000110,000107,00085,000
850万円140,000131,000127,000121,000118,000108,000
900万円151,000141,000138,000132,000128,000119,000
950万円163,000154,000150,000144,000141,000131,000
1,000万円176,000166,000163,000157,000153,000144,000
1,500万円386,000374,000370,000362,000358,000346,000
2,000万円560,000548,000544,000537,000532,000521,000
2,500万円845,000831,000826,000818,000813,000800,000

※1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースをさします。(配偶者の給与収入が141万円以上の場合)
※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースをさします。(ふるさと納税を行う方本人が配偶者控除を受けている場合)
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」をさします。
※4中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はありません。たとえば、「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」と同額になります。また、「夫婦子2人(高校生と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額になります。
※5社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定しています。

ポイント5 控除額計算の注意点

先ほどの目安一覧は、住宅ローン控除や医療費控除など、ほかの控除を受けていない給与所得者のケースとなります。つまり、ほかの控除がある方は注意が必要ということです。先ほどもお話ししましたが、ふるさと納税で受けられる控除は、すでに支払っている、または支払うことになっている税金から差し引きます。つまり、ふるさと納税で控除できる税金額が変わってしまう可能性のある方は注意が必要です。

以下のような方はとくに注意が必要
住宅ローン控除や医療費控除など、ふるさと納税以外でも税金の控除を受けている方
1年間で支払った所得税や翌年支払うことになる税金は、その年の収入によって決まります。そして、「確定申告」で控除できる限度額は、収入によって決定した税金の額です。つまり、住宅ローン控除や医療費控除を行うことで、ふるさと納税を全額控除できる金額が少なくなってしまう可能性があります。とくに住宅ローン控除は金額が大きいので、住宅ローン控除だけで控除できる限度額に達することもありえるのでご注意ください。
住宅ローン控除や医療費控除など、ふるさと納税以外でも税金の控除を受けている方
予想していたほどの収入が確保できなかった場合
1年間の収入は、1月1日から12月31日までの収入が確定しないとわかりません。社会人の方なら、昨年の収入や毎月の給与などからある程度のめどがたちますが、自営業の方やフリーランスで仕事をされている方の中には月によって収入が異なるので年間の収入がわからないという方もいますし、会社を退職したり、怪我や病気で収入が減るという方もいらっしゃるでしょう。収入が少なくなると、支払う税金も少なくなり、控除できる限度額も少なくなります。
年初に1年間の収入を想定して、ふるさと納税を申し込んだけれど、収入が減少したため全額控除できないということもありえます。
予想していたほどの収入が確保できなかった場合
家族構成が変わる方
家族構成によって、寄附上限額が変わることはお話したとおりです。新しく子供が生まれた、ご両親と同居することになって扶養家族が増えたなど、家族構成が変わる方はご注意ください。

コラム

地方税について

「住民税」には個人が支払う「個人住民税」と、法人が支払う「法人住民税」があり、ここでは「個人住民税」についてのお話をします。個人住民税とは、都道府県や市区町村が行う行政サービスに必要な経費を支払い能力に応じて負担するもので、「個人県(都・道・府)民税」と「個人市(区・町・村)民税」があり、一般的にこの2つを合わせたものが「個人住民税」や「住民税」と呼んでいるものです。「個人住民税」は、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」、所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」、預貯金の利子などに課税される「利子割」、一定の上場株式などの配当などに課税される「配当割」、源泉徴収選択口座内の株式などの譲渡所得などに課税される「株式等譲渡所得割」からなっています。

「所得割」と「均等割」については、1月1日現在で居住している方が課税の対象で、各市区町村が「個人県(都・道・府)民税」と「個人市(区・町・村)民税」を合わせて徴収します。なお、実際に居住していなくても、家や事務所をお持ちの方は均等割が課税されます。給与所得者の方は、毎月の給与から、65歳以上の公的年金受給者で個人住民税を納税されている方については、公的年金から徴収されます。そのほかの方については、市区町村から送付される納税通知書で納めます。

「利子割」、「配当割」、「株式等譲渡所得割」については、銀行などの金融機関や配当を支払う会社など、証券会社などが、利子、配当または源泉徴収選択口座内の株式などの譲渡による対価などを支払う際に徴収し、その支払いを受ける方の住所(ただし、利子割は預金などをしている営業所など)が所在する都道府県に納めます。なお、株式の譲渡所得については、証券会社に申し込んでいる口座の種別や売買した取引によって、手続きの方法が変わる場合があります。詳しくは税務署や税理士に確認されるのがよいでしょう。

所得割額とは
『(前年の総所得金額など-所得控除額)×税率-税額控除額』の式で計算した金額です。
所得金額とは
前年の所得を、給与、利子、事業など所得の発生別に10種類に分けて、1年間の収入金額から必要経費などを差し引いた金額のことです。なお、給与所得の場合には、必要経費に相当するものとして給与所得控除があります。
所得控除とは
納税者の個人的事情に配慮して所得税を軽減する施策で、医療費控除や社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除などさまざまなものがあります。
税率とは
原則的に一律10%です(都道府県民税4%、市区町村民税6%)。
税額控除額とは
税額を算出した後に、その税額から差し引く額のことで、住民税には「配当控除」、「寄附金税額控除」、「住宅ローン控除」、「調整控除」などさまざまな控除があります。

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